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33．福山一泊
実家からはどうやって帰ろうかと考えていたが、妹が車で帰っていたので、妹の車で広島県福山市の従姉の家に行き、一泊させてもらうことにした。
青春１８キップはあと一回使える。これなら倉敷に寄れるなとうれしくなった。倉敷は俺にとって特に思い入れがある。実は一度も行ったことがないのだが、一度は行かねばと思っていた地であった。それは後に述べる。
福山の家で思わぬものに出会った。俺の描いた油彩が飾ってあった。描いたのは高校１年のころだと思う。初めて油絵の具を使って描いていたころ、ブランデーのビンとグラスが台に乗っている静物画だ。決して飾って絵になるシロモノではないのだが、それが飾ってあった。うれしかった。俺すら忘れていた昔の作品が大切にされて、こうして出会えるなんて素敵じゃないか。この体験がもう一度油彩を描こうと思ったきっかけだったかもしれない。
朝、従姉の旦那さんに福山駅まで送ってもらった。いよいよ最後の青春１８キップで倉敷入りだ。
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