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18．不思キのくに和歌山
駅前デパートでまず不思議だったのは、下りエスカレータしかなかったことだ。ひとつしかエスカレータがないとき、普通なら昇りエスカレータじゃないだろうか。しかし和歌山駅前デパートのエスカレータは下りだけ。不思議だ。午前は昇り、午後は下りなのか。早く帰れということか。
とりあえず買い物はせず、今夜の宿を確保しようということになった。一応「るるぶ和歌山」は持ってきていたので、そのなかで安いくて駅に近いところを探した。
泊まったホテルの名前はあえて出さない。出せないようなことを書くからだ。しかし京都のレストラン街と違い、切れることはなかった。これも不思議だ。和歌山のおおらかさが成せるワザか。
19．不思キのくにのホテル
ラーメンが目的なのでビジネスホテルで御の字だった。そこはどう見ても単なるビジネスホテルで、外観は２０年前くらいのマンションなのだが、披露宴会場予約受付中と大きく書いてあった。これは不思議ではなく無謀だ。
フロントには実習生の女性。ツインの８０３号室が空いているというので、そこにした。サービスだといって毎日新聞の夕刊を渡された。エレベータもいかにもマンション風だったが、８階に行くと、もうこれは昔のマンションとしか言いようのない風景だ。しかもいくつかの部屋は改装工事中であり、電動ノコギリの音が聞こえ、オガクズが廊下に散乱している。それを掃除する労働者もいた。
だがそれだけでは終わらない。８０３号室に入ったら、浴衣が脱ぎ散らかされ、ゴミ箱にはビールの空き缶。タオルも濡れている。どうみても使用中かチェックアウト直後だ。これには怒ってフロントに電話しようとしたが、電話機にフロント直通番号がない。内線そのものがないのだ。
あきれてフロントまで行き「８０３の掃除終わってないようですが」といったら、実習生は落ち着いて電話をかけ始めた。フロントには内線があるようだ。そして隣の８０２号室のキーを渡された。こちらは掃除してあった（当然だが）。しかしタオルは一組しかなかった。担当者らしき人が駆けつけてきたので、タオルのことは話し、帰ってくるまでに用意しておくとのことだった（当然だ）。
しかし不思議なホテルだ。テレビはなぜかパソコン台（プリンタ台と一体型のヤツ）に置いてあるし、装飾品がないから無駄に広い。こりゃマンションだ。少なくとも設計当初はマンションだったに違いない。夕刊サービスもいいが、基本的なサービスもして欲しい。ちぐはぐな印象で怒るよりあきれて笑ってしまった。冷房だけはガンガンに効いた。
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