東京の青年に告ぐ！　川籐作之介（かわとうさくのすけ）

　どないやっちゅーねん！ほんま。アホか。どつくぞこのドアホウ！おまえや、おまえのことや、そこの東京の青年。チンケな若造のくせして東京なんぞに住みやがって。わかっとるんかカス。なにが東京や。なにが首都やボケ。おわっとんねん。おまえらの天下おわっとんねん。


　おい、聞いてんか。オッサンのはなし。ちゃぁんと聞いてるか。そら、府知事はつるつるです。つーるつるーのつるっぱげです。せやけどそれがなんやねん。オッサン大阪好っきやねん。あんさん大阪好きかいな。嫌いやろ。ショージキゆうてみぃ。


　なに？好き！誰が好き言えゆうたんかボケ。未熟やなぁ。これやから東京モンはアカンねん。好きゆうたらつっこまれへんがな。まあええわ青年。未熟な東京の青年よ。オッサンがしごいたる。遠慮せんでええがな。ついて来い。悪いようにはせーへん。


　あ！おい。ほーら、あれ見てみぃ…。見ろっちゅうのがわからんか。かめへん、かめへん。だーれもおらん。オッサンだけや。心配すな。見てみぃ。ええでぇ。へへっ。ブリブリやで。見てみぃて。見ろっちゅーとんねや。おい！なんで見ぃへんねん。


　なに？ゆうてることがわからんやて。アホぬかせ。すかしくさって。なにが歌舞伎町や。新開地も知らんとデカイツラすんな。ほんまやで。ほんま東京モンはアカンねんなぁ。人を信用せーへんからな。たのむわほんま。かあちゃんには黙っといてやるさかい。見てくれよ。オッサンの気持ちがわからんか。なあ青年。東京の青年よ。何がイヤやねん。けったいな奴っちゃなぁ。青年！オッサンがな、今年で孫が中学生に上がるこのオッサンがな、おまはんみたいなしょーもないしょんべんたれの東京モンつかまえてな、こんだけ頭下げてお願いしとるんよ。


　なあ青年。いやほんま、すまん。いいすぎやった。かんにんしてぇな。あんさんはええ人や。東京にも人情のわかるええ兄さんがいてますなぁ。オッサン関心したわ。しょーみのはなしが。大阪なんて、しょせん田舎モンですわ。なあ兄さん。そない思うやろ。なに。思う？アホかカス！謙遜やそんなモン。わからんか。タダでボケようなんて十年はやいわ。つっこまれたけりゃ銭だしーや。ほんま未熟。なぁんもわかっとりませんなぁ。


　よし罰や。ボケようとした罰や。見ろ。オッサンの言う通り見るんや。ほれ。そうや。それでええんや。ちゃんと見てるか。見てるな。アホがみぃーるブタのケーツ。アホがみぃーるブタのケーツ。へへっ、ひっかかったひっかかった。やっぱアホや。東京モンはアホやぁ！ほなサイナラ。◆